UXリサーチに革命を|AIと共に“インサイトを自動抽出”する時代の到来
「ユーザーリサーチ、大事なのはわかってる。……でも、正直しんどいよね。」
これ、昔の自分が心の中でつぶやいてた言葉です。
ユーザーインタビューの準備から、録音、文字起こし、分析、レポート作成まで。やること多すぎて、肝心の改善アイデアを考える前にヘトヘト。
特に小さなチームやフリーランスだと、リサーチにかけられる時間も人手も限られてますよね。
だからといって“やらない”と、なんとなくの感覚でデザインが進んじゃって、後から手戻り地獄……。
でも最近は、AIをうまく使えば、その「しんどさ」をグッと減らして、本質的な気づきや仮説づくりに集中できるようになるって実感してます。
インタビューの文字起こしや要約、ユーザー行動の分析、感情の可視化まで。
AIが「面倒だけど大事な下準備」をこなしてくれるおかげで、私たち人間はもっと“クリエイティブで判断が必要なところ”に時間を使えるようになるんです。
この記事では、Maze、UserTesting、ChatGPT、ヒートマップツールなどを使って、UXリサーチの“面倒”をどうスマートに乗りこなすか? を、実践ベースでお届けします!
そのリサーチ、ちゃんと活かせてる?“よくある失敗”
リサーチって、「なんとなくやって満足」で終わっちゃうこと、ありませんか?
録音を何時間も聞き返してメモしたり、テスト映像を見たはいいけど「うーん、これは何が言いたいのかな…」で終わったり。チーム内でも「そこって重要?」みたいな解釈違いが起きたりして、結局リサーチが活かされないことも多いんですよね。
よくある課題をあげると、こんな感じです。
- 録音の文字起こしが面倒すぎて、そもそも着手できない
- ユーザーの声をどう整理して、チームで共有すればいいか分からない
- 定性的なデータがたくさんあるけど、どこから手をつけていいか見えない
これ、単に「やり方が悪い」とかじゃなくて、人力だけだと限界があるんですよ。
でも、ここにAIが入るとどうなるかというと…
「録音を自動で文字起こし」→「ChatGPTが要約・整理」→「次の仮説に繋がるインサイトが見えてくる」みたいに、面倒な作業を丸ごと任せて、私たちは“考えること”に集中できるんです。
AI × UXリサーチはここまで来た!今すぐ使えるツールと活用アイデア
Maze
クリックや離脱から“ユーザーの迷い”を可視化
Mazeは、FigmaやSketchなどで作ったプロトタイプをそのままユーザーテストできるツール。何がすごいって、クリック率・完了率・所要時間などを自動で集計&可視化してくれるんです。
たとえば:
- 「お問い合わせボタンまでたどり着けた人は全体の◯%」
- 「このステップで離脱した人が多い」
- 「意図しない場所がクリックされている」
こうした“気づきの地図”を、ノンコーディングでサクッと手に入れられるのが最大の強み。
UserTesting
テスト映像から“リアルな声”をAIが抽出
UserTestingは、実際のユーザーがあなたのプロダクトを使っている様子を録画し、その様子を動画&音声で取得できるサービス。AIが自動でその映像を要約して、「このとき何を感じていたか」「どこで困っていたか」まで抽出してくれるんです。
たとえば:
- 動画の◯分◯秒で「ちょっと分かりにくい」と発言 → ハイライト化
- ネガティブな感情が集中しているステップをピックアップ → 修正ポイントが明確に
ChatGPT
“ごちゃっとした声”をインサイトに変換する相棒
MazeやUserTestingで得たフィードバックを、ChatGPTに投げるとさらに便利です。
おすすめの使い方
- 「この20人分のユーザーコメントを、ニーズ別にグループ化して要約して」
- 「各フィードバックが感情的にポジティブ・ネガティブ・混在なのかを分類して」
- 「改善の優先順位を示して」
Hotjar / Clarity
“どこで詰まってるか”をヒートマップで直感的に
ユーザーが「どこをクリックしてるか」「どこまでスクロールしてるか」を視覚的に見られるのがヒートマップツールの魅力。中でもHotjarやMicrosoft Clarityは、UI改善やABテスト前の仮説出しに最適です。
これらのデータをChatGPTに渡すと、こんなこともできます。
- 「このページで目立ってクリックされている場所と、その理由を考察して」
- 「スクロールされにくいセクションの改善アイデアを出して」
実践者が教えるリアルな工夫と、ありがちな落とし穴
ツールやAIを導入すれば、それだけでUXリサーチが完璧になるかというと、そう甘くはありません。ここでは、私自身が実践して感じた“ちょっとした工夫”と“ありがちなミス”をまとめておきます。
プロンプト設計は「問いの精度」が命
ChatGPTにユーザーの声を投げるとき、ただ「要約して」だけだと、微妙にズレた答えが返ってきます。おすすめは、“問いを具体的に分解する”こと。
たとえば:
このユーザーコメント群を以下の観点で整理してください:
1. 課題と感じている点
2. 欲しいと思っている機能
3. 感情(例:嬉しい、不安、イライラ)
4. 共通点と傾向
といった感じで、“分析フレーム”を先に渡しておくと、精度がグッと上がります。
ケース別に使えるプロンプトのテンプレ集はこちらで紹介してます。
コピペして使ってみてくださいね!
AIの判断を「鵜呑み」にしない
これはめちゃくちゃ大事です。
ChatGPTや自動分類ツールは便利ですが、すべての解釈が正しいとは限りません。たとえば「不安」という感情に分類されたフィードバックが、よく読んでみると実は「ワクワクの裏返し」だった…なんてこともあります。
つまり、AIは“仮説ジェネレーター”として使うもので、最終判断は人間がやる。このスタンスを忘れないことが、リサーチを失敗させないコツです。
ツール同士の“連携ハブ”を作ると強い
いろんなツールを使っていくと、
「MazeはMazeで分析、UserTestingはUserTestingで共有、ChatGPTは別ファイルで…」と情報が分断されがちです。
私の場合は、NotionやFigJamに「UXリサーチハブ」を作って1ヶ所にまとめるようにしています。
ツールのスクショ、インサイトメモ、改善案、プロンプト例などを時系列で並べておくと、メンバーとも共有しやすく、意思決定が早くなります。
まず何から始める?“脱・手探りリサーチ”の一歩目
ここまで読んで、「なるほど、AI使えそう!」と思っても、いきなり全部を取り入れるのは大変ですよね。そこで、私がおすすめする“最小構成”の始め方をご紹介します。
ステップ①:インタビュー録音 → Whisperで文字起こし
無料 or ローカルでも使えるWhisper系ツール(例:Whisper.cppやMac用GUI)を使えば、日本語でも高精度に文字起こしできます。
まずはここで、「音声→テキスト」の壁を越える!
ステップ②:ChatGPTに要約&分類をお願いする
文字起こしテキストをChatGPTにそのまま貼って、以下のように投げてみてください。
このユーザーインタビューを、
1. 発言の主なテーマごとに分類
2. ユーザーが繰り返し使った言葉を抽出
3. 改善に活かせそうな要素をピックアップ
これだけでも、「自分では気づけなかった共通項」が見えてくるはずです。
ステップ③:Notionにまとめて、チームでシェア
得られたインサイトやコメント分類をNotionにテンプレート化しておけば、次回以降もラク。「気づきの共有→改善案の議論→実行」のサイクルがグッと回りやすくなります。
まとめ
UXリサーチは、“問いの質”を育てるプロセスへ
UXリサーチって、結局は「ユーザーにどう向き合うか?」の姿勢が問われるもの。
でも、AIがうまく下支えしてくれることで、私たちは“観察”から“洞察”へ、一段深く潜れるようになると感じています。
これからのUXリサーチは、「資料を作る作業」ではなく、
“問いを磨く”プロセスそのもの。
AIを使って面倒な部分を自動化しつつ、デザイナー・PM・チーム全体で“問い直す力”を育てていく。
そんなリサーチの形を、あなたの現場でも始めてみませんか?